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Table2 Allowable motion of wharf operation

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この結果から、長周期変動波漂流力を考慮した場合としない場合とでは、短周期側での荷役許容波高が大きく異なっている。これは、そのような周期においては1次波強制力のみを外力とした場合、サブハーモニックに起因する左右揺れの動揺量が小さいため、長周期変動波漂流力を考慮すると、動揺量に与える2次の長周期連動の影響が顕著に現れ、動揺量を増幅させていることが考えられる。8.0秒より長い周期の場合には、1次波強制力のみでもサブハーモニック現象により十分な動揺量を示し、長周期変動波漂流力の影響は顕著に現れないと考えられる。次に、この結果に基づき、Table3、Table4に示すような波浪分布を持つAの港湾、Bの港湾についてそれぞれ荷役稼働率を算定したものがTable5である。

Table3 Joint probability of wave periods at A-port

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Table4 Joint probability of wave periods at B-port

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Table5 Wharf operation efficiency

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まず、Aの港湾においては、長周期変動波漂流力を考慮する場合としない場合を比較しても大きな差はみられない。これは、この港湾では波浪分布が沖波とほぼ同等であり、荷役許容波高の差が顕著に現れない周期帯を中心に波浪分布が集中しているため、全体としての稼働率に与える長周期変動波漂流力の影響は小さかったものと考えられる。この結果は、対象船舶は違うが上田らによるAの港湾での30,000DWT、波向き60度での荷役稼働率の結果(63.8%)より考えると、波向き90度とした本計算による稼働率はほぼ妥当であると考えられる。次に、波浪分布の異なるBの港湾についても同様の比較を行った。この場合、荷役稼働率は大きく異なる結果となった、この理由として、この港湾の波浪分布は荷役許容波高が大きく異なる周期帯に特に集中しており、全体としての稼働率に与える長周期変動波漂流力の影響が顕著に現れたものと考えられる。このようなことから、港湾の波浪分布が特に浮体の散乱・回折の影響が大きくなる比較的短周期側に集中するような場合、波高は小さいにも関わらず変動波漂流力の影響が大きく現れることがあると言える。
5−2岸壁反射率の影響
次に、離岸距離をフェンダー高さに固定し、岸壁の反射率(Kr)を1.00、0.80、0.60、0.50と変化させた時の左右揺れ方向の動揺の時系列をFig.4に、その時のNo.1ローブの緊張力の時系列をFig.5に示す。また左右揺れ方向の動揺のスペクトルをFig.6に、その時の緊張力のスペクトルをFig-7に示す。この時の不規則波は、有義周期6.0秒、有義波高0.4mとした。まず、完全反射の場合と比べて反射率が0.8の場合には動揺量は減少する傾向がみられる。しかし、さらに反射率を小さくした場合には、完全反射の場合よりも大きな動揺量となっている。また、張力の時系列も同様の傾向を示している、さらに、ゼロアップクロス法により解析した各応答の最大値をTable6に示すが、この最大値からもこの傾向がうかがえ、反射率を低くした場合においても、一概には動揺量の低減が期待できないと思われる。

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Fig.4 Time series of sway motion (Influence of reflection coefficient of quay)

 

 

 

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